犬のドライアイの治療

目の病気のことへ

には 目を乾燥から守る・角膜へ酸素や栄養を補給する・きれいに物を見る・汚れやゴミを洗い流す などの働きがあります。

ドライアイは涙の量が減ったり(涙液減少型)、涙の質が悪くなったりすることで(涙液不安定型)、目の不快な症状が見られるようになる病気です。以下は犬のドライアイの治療についてのご説明です。(ドライアイの症状はこちら)

涙は 油、水、ムチンの3つの層から構成されています。それぞれが大切な役割を担っており、3つの成分が、「涙」としての役割りを果たします。

油層

涙の油分はマイボーム腺というまぶたの分泌腺から分泌されます。まぶたの縁にある小さな点が開口部になります。

マイボーム腺の状態は次のように確認します。

スリットランプ検査でまぶたのマイボーム腺や、開口部周囲の観察

・マイボーム腺を圧出して分泌物の性状確認

写真のように、瞼のふちから白っぽい分泌物が見えている時は、マイボーム腺の状態が悪く(マイボーム機能不全)、涙液不安型のドライアイと判断します。

マイボーム腺の状態を整えるために以下の治療を実施します。これらの治療は組み合わせて行うことが多いです。

眼瞼を温めてマッサージ・清拭を行う。マイボーム腺の詰まりをとり、まぶたの状態を整えます。

ご自宅でできるまぶたのケア方法があります。マイボーム腺のケア方法をお読みください

マイボーム腺にたまった油を絞り出す。動物病院で処置を行います。

点眼薬や内服薬でマイボーム腺の状態を整える。抗生剤を用います。

水層

涙(水層)はシルマー・ティア・テスト(STT)で確認します。涙の量を測定します。

STTの数値が低いと、涙液減少型のドライアイと診断されます。涙の代わりの目薬(人工涙液など)や、自分で涙を作るように促す目薬を使用します。

涙の代わりの目薬

涙の代わりの目薬 

・ヒアレイン0.1%

・ヒアルロン酸ナトリウムPF点眼液

・ヒアレインミニ0.3%

・ソフトサンティア

涙が少ない時に最初に処方される目薬です。いくつかありますので、それぞれの特徴をご説明します。

ヒアレイン0.1% 

一般的な点眼薬です。様々なメーカーから発売されています。ヒアレインは商品名です。開封後1ヶ月が使用期限。扱いやすいです。ヒアルロン酸ナトリウムには、水分を保持し、角膜の小さな傷を修復する作用があります。

ヒアルロン酸ナトリウムPF 

防腐剤無添加

パッケージが独特(PF容器)。必ず使用方法を確認してから使用するようにしてください。点眼する時にコツが必要ですが、慣れれば大丈夫です。使用期限 4週間

PF点眼液の説明はこちら

/https://www.rohto-nitten.co.jp/documents/pf/

ヒアレインミニ0.3%

防腐剤無添加の使い切りタイプです。

ソフトサンティア  

防腐剤無添加

涙に近い成分のため、低刺激。有効成分は入っていないので洗い流し用の目薬として使用可能。 使用期限 10日間なので注意が必要

涙をつくる目薬

涙を作るように促す目薬です。涙は涙腺・瞬膜腺から分泌されます。ドライアイ治療薬は涙腺に働きかけ、涙の分泌を促します。オプティミューン®眼軟膏の使用が一般的ですが、治療の効果が乏しい場合には他の目薬に変更することがあります。点眼治療を開始して、すぐよくなるというわけではなく、効果が出るまでに数週間から数ヶ月程度かかります

ドライアイは生涯に渡っての治療が必要になります。途中で目薬を中止すると、再び涙の量が減り、症状が再発する事が多いです。調子が良くても治療を継続するようにしましょう。

ドライアイ治療薬として眼軟膏、オイル、目薬などを使用します。いずれも使用に当たっては十分に注意する必要があります。これらの点眼薬は価格も高価になり、長期使用時の注意点もあります。点眼薬の種類・回数などは獣医師と十分に相談の上、使用するようにしてください。

ムチン層

ムチンは涙を安定させる“のり“のような役割があります。涙が目の表面に留まって“膜“のような状態になることで、涙としての役割を果たせるようになります。ムチンが足りない場合は涙液不安定型のドライアイと診断し、ムチンの分泌を促すタイプの目薬(ジクアス点眼液、ムコスタ点眼液)を使用します。

ドライアイの治療について

犬のドライアイは非常に多い病気です。涙の質と量が悪くなるために、様々な目のトラブルが起こります。

マイボーム腺の状態が悪い時(涙液不安定型)

眼瞼を温めてマッサージ・清拭を行う。(オキュソフトや、マイボシャンプー)

マイボーム腺にたまった油を絞り出す。

点眼薬や内服薬でマイボーム腺の状態を整える。

涙の量が少ない時(涙液減少型)

涙の代わりの目薬(人工涙液など)

自分で涙を作る目薬(オプティミューン®眼軟膏など)

ムチンの分泌が低下している時(涙液不安定型)

ムチンを安定させる目薬

ドライアの治療はとても時間がかかります。根気よく目薬を継続していただき、より少ない目薬でいい状態を保つことが目標になります。

またその子の生涯に渡って目薬の治療が必要になることが多く、そのため、飼い主様とペットが無理なく目のケアができることがとても大切です。

目薬についてのページお読みいただき、正しく目薬を使用するようにお願いいたします。

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